解説
この物語の「主人公」と呼ぶべき存在。
すべては彼が、アインとガタリの作った精神治療装置「ガラージュ」の被験者となったことから始まる。
ガラージュの中のあらゆる秩序、すなわち機械という形での存在と縛り、雄機械と雌機械という協力関係、汚水から始まる奇妙な生態系……そしてこの世界に生きる機械やカゲの人格は、すべてヤンの潜在意識が元となり生み出されたものである。
「ガラージュ」の中のヤン
ヤン自身も、類稀なる身体能力を持つ、いわば「最強の機械」としてこの世界へと降り立った。……少なくとも最初はそのはずだった。
ヤンのとった行動は他の機械たちによって記録・記憶されている。また、ヤンの意識の変化は「古いメモ」という形で発現し、その場に残されている。
その力で思うがままに振る舞った結果、自身を含むすべての機械が存続の危機に陥ったこと。
自分を超え、そしてすべてを飲み込む存在「ジュース」が現れたこと。
その両方に対処した結果、自由であるはずの世界に、最も嫌悪していた「秩序」がもたらされてしまったこと。
燃え尽きてしまったヤンは2つに分かたれる。
ひとりは記憶を封印されたが、身体はそのまま引き継いだ「シェン」。
そしてもうひとりが、何もかもがまっさらな状態で生まれなおした主人公(プレイヤー)である。